
「あご」とは「波静かな海」という意味です。
「ご」が静かと言う意味で「あ」は「ご」を強調しています。
「ご」という文字。現在では「虞」と書きますが、「子」、「湖」などともかく事があります。「胡」は「湖」と同じ意味です。
一例を挙げれば、お隣愛知県の「伊良湖」。実はこの伊良湖もその昔志摩国の一部だったのですが、「伊良子」、「伊良虞」などとも書きます。
阿胡は真珠貝(あこや貝)の「あこ」と同じ意味です。志摩には多くの万葉言葉が残されており、今でもこの地域では英虞湾を「うら」と呼んでいます。
万葉集には「嗚呼児の浦に船乗りすらむ乙女らが珠裳の裾に潮満つらむか」と柿本人麻呂が詠んだ歌があります。
波静かな情景を思い浮かべて詠った歌です。
この英虞湾。「リアス海岸」又は「リアス式海岸」と呼ばれています。
「リアス」とはスペインのガリシア地方の言葉で、「川と緑と海が出会い1つに溶け合う」と言う意味です。
「リアス海岸」は「川と緑と海が出会い1つに溶け合った海岸」と言う意味になります。
辞典などには「リアス」を川または川が沈んだ入り江を意味する「リア」から来ていると記されていますが、現地語はちょっぴり違う意味だったわけです。
真珠の養殖には筏を使う物とそうでない物があります。
写真奥の方では浮きの下にロープが張り巡らされ、真珠貝が吊されています。
手前側は作業小屋。
貝を掃除したり様々な作業を行います。また手前の筏は作業を待つ真珠貝が吊されているわけです。
万葉集には多くの真珠の歌が登場します。
登場する真珠は主に鮑玉とアコヤ貝真珠。何れも万葉集の時代、大王町の産品の一つでした。
太平洋側からは鮑玉、英虞湾側からは白玉を奈良の都に送っていたようです。
英虞湾でとれる真珠は別名「豊玉姫の涙」とも呼ばれています。同じ市内の浜島町には「なつかし浦」(英虞湾)という所があり、山幸彦と豊玉姫の伝説が残っています。
山幸彦と結婚した豊玉姫は出産の際、龍に変化します。それを山幸彦に見られたため海へと帰っていきます。幸せな日々を懐かしんで豊玉姫が流した涙が変化したものが真珠と言われています。
生まれた子供は、のちの神武天皇となるわけです。大王町には波切神社にその親神である豊玉彦が祭られています。
